「渡りの足跡」梨木 香歩著
福音館書店の新館の中に「草木鳥鳥文様」というタイトルの本を見つけ気にかかりました。
最近草花や野鳥に興味があるため引っかかったのですが、著者の梨木香歩さんの過去作品のタイトルを見ると、気になったものもあったので、早速図書館で借りて読んでみました。
その中の一冊「渡りの足跡」についてメモ代わりに書いておきます。
解説の野田研一さんによると、この作品は「ネイチャーライティング的な要素を色濃く内包するエッセイ作品」とのこと。
女満別空港から網走湖、斜里、知床へと向かうところからスタートするのですが、行ったことがある場所であるため、梨木さんの表現で景色が浮かび上がってきて、一気に読み進めてしまいました。
野鳥について書かれていたかと思うと、現地のガイドやドライバ-の話、宿泊先のホテルがたまたま読んでいた本に登場するホテルであったことから、その本に関する話題になるなど、話は時空を超えてあちこちに飛ぶのですが、その軽やかさが心地よい。
日本にやってくるオオワシに会いに、カムチャツカまで行ってしまうとは。
諏訪で出会ったオオワシに、知床で再会したエピソードは、自分の旅の可能性を拡げるものでもありました。
他にも「丹生都比売(におつひめ)」という、天武天皇と持統天皇の子どもの草壁皇子を主人公とした短編小説、「鳥と雲と薬草袋」という、全国の地名にまつわるエッセーを読みました。また、シベリア行の船の話も出ていたので、稚内からシベリアまで船で行ったことがあるようです。
野鳥・草花・神話・地名・シベリアと自分の興味と一致するものが勢ぞろいしているので、どの本を読んでもあっという間に読んでしまいます。
「鳥と雲と薬草袋」前書きで以下のような文があります
-薬草袋にごちゃごちゃ入っているメモのように、いつか行った土地の名まえ、それにまつわる物語も、鳥や雲の話に合わせて、書いていけたらと思っている-
自分が書きたい旅行の記録も、このようなものであるような気がしてきました。
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